こせこせした器量の小さい人のことを言った四字熟語です。
【斗】は、一斗を入れる器のこと。
【筲:ショウ】は一斗ニ升を入れる器のこと。
ともに小さな器のことですので、それで量ることのできる程度の小人物という意味になります。
『論語』子路篇にでている四字熟語です。
子貢(シコウ)問ひて日く、何如なるを斯(こ)れ之(これ)を士と謂うべきかと。
子貢が、どのような人物を、士というのでしょうか、と聞きました。
子日く、己を行ふに恥有り、四方に使して、君命を辱しめざるを、士と謂うべしと。
平素は自分の行いを反省して常に及ばないのを恥じる人物で
外交使節として立派にその使命を果たし、国威を揚げる力量のある人、
これを士というのだ、と云いました。
曰く、敢て其の次を問うと。
子貢は、第二の士がございましたら教えて下さい、と言うと
日く、宗族(ソウゾク)孝を称し、郷党(キョウトウ)弟を称すと。
一族の間では孝行者と云われ、生まれ故郷では悌順(テイジュン)な者と
言われているような人物だな。
曰く、敢て其の次を問うと。
子貢は、第三の士がございましたら教えて下さい
日く、言へば必ず信に、行へば必ず果。硜硜然(コウコウゼン)として小人なるかな。
言ったことは必ず守ろうとし、着手したことは必ず最後までやり遂げようとする人物。
これは堅い石がぶつかり合うような音がするくらいの融通性のない小人物だが、
抑(そもそも)亦(また)以て次と為すべし。
まあ第三の士に加えてやっても良いだろう、と云いました。
日く、今の政に従う者は何如と。
子貢は更に、今の政治家はいかがでしょうかと聞きました。
子曰く、噫(ああ)、斗筲の人、何ぞ算(かぞ)う るに足らんやと。
ああ、あの一斗マスのような人物か、あのような連中をどうして士などと呼べようか。
数えるに値しない、と云いました。
二千年以上も前から、斗筲の政治家はいたんですね。