【風に順(したが)いて呼ぶ。】と読みまして、風上から呼ぶと、声が大きくなるわけではないのによく聞こえる、という意味です。環境の力を効果的に利用すれば物事はうまくいく、というたとえです。
出典は『荀子』勸學篇です。
順風而呼、聲非加疾也、
風に順いて呼べば、聲疾を加ふるに非ざるなり、
風向きに従って声を出せば、決して声がその速さを増すわけではないが、
而聞者彰。
而(しか)るに聞ゆる者彰(あきら)かなり。
明瞭に聞こえることになる
假輿馬者、非利足也、
輿馬を假る者は、足を利するに非ざるなり、
車と馬のたすけを借りるものは、足がその働きを増すわけではないが
而致千里。
而るに千里を致す
容易に千里の道程を走破することができる
假舟楫者、非能水也、
舟楫(シュウシュウ)を假る者は、水に能ふるに非ざるなり、
舟と楫(かい)のたすけを受けるものは、
そのために自分が水に浮き、乗り越えられるようになったのではないが
而絶江河。
而るに江河を絶す。
川を横切り渡ることができる
君子生非異也、善假於物也。
君子は生異なるに非ざるなり、善く物に假ればなり。
君子も生まれたままの姿・能力は少しも一般大衆と異なるわけではないが、
君子となり得たわけは、環境の力を借りてわが力の助としたためである。






























