差別することなくすべての人を平等に慈(いつく)しみ愛することを表す四字熟語です。
唐の韓愈(カンユ:768年~824年)の『原人』という文章の中にでてきます。この『原人』という標題は「人(の本質)を原(たず)ねる」という意味です。
韓愈は、唐宋八大家の第一に数えられる文筆家で、四六駢儷(ベンレイ)体の修辞主義を批判し、
古文復興運動を勧めました。
古文復興運動と言いますのは簡単に言いますと儒教の復興ということです。
韓愈の活躍した中唐の時代は、六朝から隋唐にかけての崇仏の時代でもありました。
中国古来の儒教の地位を回復しようとする、韓愈の儒教復興の姿勢からきたものであったようです。
天者,日月星辰之主也
天は日月星辰の主なり
天は、太陽や月や星の属するものの主をなすものである
地者,草木山川之主也
地は草木山川の主なり
地は、草木や山川の属するものの主をなすものである
人者,夷狄禽獸之主也
人は夷狄(イテキ)禽獣(キンジュウ)の主なり
人は、異民族や禽獣の属するものの主をなすものである
主而暴之,不得其為主之道矣
主にして之を暴(そこな)ふは、其の主たるの道を得ざるなり
主でありながら属する者を害するのは、主としての道を正しく行わないことである
是故聖人一視而同仁,篤近而舉遠
是の故に聖人は一視して同仁に、近きに篤(あつ)くして遠きを挙ぐるなり。
そこで聖人は、異民族も禽獣もみな自分と同一のものとして博愛の情をもって、すなはち
【一視同仁】の気持ちで全てを見るのである。
身近のものに対して手厚くし、遠くのものにものこらず及ぼしていくのである。