【顏厚(ガンコウ)にして忸怩(ジクジ)たる有り。】と読みまして、顔色も変わるほど恥ずかしさがこみ上げてくる、という意味です。
出典は『書経』五子之歌です。
五子之歌と言いますのは、行方不明になった兄を心配して、五人の弟達が歌ったものです。
四字熟語【顔厚忸怩】の初出です。熟語『鬱陶(ウットウ)しい』も書経のこの部分が初出らしいです。
嗚呼曷歸。
嗚呼(ああ)曷(いずく)にか帰(き)せん。
ああ、一体どこに身を寄せたらよいのであろうか。
予懷之悲。
予(ヨ)之(これ)を懐(おも)ひて悲しむ。
私はそのことを考えて悲しい思いに包まれる。
萬世仇予、
万世(バンセイ)予を仇(あだ)とす、
天下の万民はみな私のことを仇(かたき)としている。
予將疇依。
予将(は)た疇(たれ)にか依(よ)らん。
わたしは一体誰をたよりにしたらよいのであろうか。
鬱陶乎予心、
鬱陶乎(ウットウコ)たる予が心、
悲しみにふさがれた私の心よ。
顔厚有忸怩。
顔厚なれども忸怩たる有り。
顔色も変わるほど恥ずかしさがこみ上げてくる。
弗愼厥德、
厥(そ)の徳を慎(つつし)まざれば、
君主としての徳を慎まなければ、
雖悔可追。
悔(く)ゆと雖(いえど)も追ふ可(べ)けんや。
後悔しても追い付くことは出来ないんだろうな。