智恵と勇気を兼ね備えていることです。
中国戦国時代の末期。趙の恵文王の家臣である藺相如(リンショウジョ:生没年不詳)を司馬遷が『史記』の「廉頗(レンパ)・藺相如列伝」中で、智・勇、二つを兼備した人物と称賛しています。
以下は藺相如への司馬遷の褒め言葉です。
死を覚悟すれば、必ず勇気があふれてくる。
死それ自体が難しいのではなく、死に処することが難しいのである。
藺相如が璧を取り返して柱をにらんだ時【完璧の故事】、
あるいはまた、秦王の左右を叱りつけた時には、勢いのおもむくところ自分が誅殺されるのだと
知っていたのだ【黽池(ベンチ)之会】。
しかし、士のある者は怯懦〈キョウダ〉であって、あえて勇気をだそうとしない。
相如は一たびその気を奮って、威は敵国に伸び、退いては廉頗に譲り【刎頸之交】、
その名声は太山(泰山)よりも重かったのである。
智・勇に処して、この二つを兼備した人物というべきであろう。
【完璧】は、秦の昭王が趙の恵文王が持っていた「和氏の璧」という宝玉と、領土の一部との交換を強要してきた時、藺相如が命をかけて、璧を守り抜いたことによる故事に基づいた熟語です。
【璧を完(まっと)うす】と読みまして、宝玉を無事に持ち帰るというのが本来の意味ですが、
転じて、完全無欠を意味する言葉として今は使われています。