一人で千人の敵を相手に出来るほど強いということから、人並み外れた能力を持っていることのたとえです。
【一騎】は、騎馬武者一人ということです。
【当千】の【当】は【當】の略字です。
【一騎当千】は『太平記』巻五:大塔宮(おおとうのみや)熊野落事(くまのおちのこと)が初出と言われてます。
御前(おんまえ)に立(たっ)て、敵の大勢にて責上(せめのぼ)りける
宮様の御前に立って(守りを固め)、敵が大勢で攻め上げてくる
坂中(さかなか)の邊(へん)まで下(おり)向ふ。
坂の途中まで、迎え討とうとしました。
其勢僅(わずか)三十二人、是皆一騎当千の兵(つわもの)とはいへ共(ども)、
僅か三十二人の軍勢で、(兵士ら全員は)一騎當千のつわものとは言え、
敵五百余騎に打合(うちおう)て、可戰(たたかうべき)様(よう)は無(なか)りけり。
敵の五百余騎に向かっては、とても戰いになりません。
『平治物語』巻中:待賢門軍事、『平家物語』巻四:大衆揃、では
【一人(いちにん)當千】となっています。
『史記』項羽本紀、では
楚の戦士は、【一人で十人】の敵にあたらない者はなく、その雄叫びは天に響動(どよ)もした。
とありました。
また『戦国策』では【一人當百】となっていました。