【父(ちち)の心(こころ)を以(もっ)て心と為(な)せ】と読みまして、親の心を自分の心とせよ、という意味です。子供は親の愛情を思いやって物事に当たるべきである、と言っているようです。
出典は『文中子』天地篇です。
『文中子』は、隋代の儒者王通の著書です。 王通と門人との対話の記録を門人が整理し、「論語」に模して編纂された書だそうです。
賈瓊問君子之道
賈瓊(カケイ)、君子の道を問う
賈瓊が君子の道について尋ねました
子曰必先恕乎
子曰く必ず恕(ジョ)を先にせん、と
先生が言いました、恕(思いやり)を第一とすべきであろうか
曰敢問恕之説
曰く敢えて恕の説を問う、と
賈瓊がさらに、恕のおしえを尋ねました
子曰爲人子者
子曰く人の子爲(た)る者は
先生が言いました、人の子たる者は
以其父之心爲心
其の父の心を以て心と爲(な)し
その父親の心を自分の心とし
爲人弟者
人の弟爲る者は
人の弟たる者は
以其之兄之心爲心
其の兄の心を以て心と爲し
その兄の心を自分の心とし
推而達之於天下
推(お)して之を於天下に達(タッ)せば
それを天下に推し広めれば
斯可矣
斯(すなわ)ち可(カ)なり。
それで充分である。