【齒牙(シガ)の閒(カン)に置(お)くに足(た)らん。】と読みまして、取り立てて問題にするに及ばない、という意味です。「歯牙にもかけない」と同意です。
出典は『史記』叔孫通(シュクソントウ)伝です。
前209年、陳勝が山東で挙兵し、秦の二世皇帝胡亥(コガイ)のもとに反逆の報がもたらされました。
これを聞いた二世皇帝は、周囲に対策を求めたところ、直ちに兵を発して陳勝を討伐すべき、の答え。
そのとき叔孫通が進み出て、
此特羣盗鼠竊狗盗耳、
これ特(ただ)に群盗(グントウ)鼠竊(ソセツ)狗盗(クトウ)なるのみ、
彼らはただ群盗かコソ泥にすぎず、
何足置之歯牙間。
何ぞこれを歯牙(シガ)の間に置くに足らん。
歯牙にかけるにも足りません。
群守尉、今捕論。
群の守尉(シュイ)、今に捕らえて論ぜん。
群尉、群守が、今にも捕らえて、その罪を論ずることでしょう。
何足憂。
何ぞ足憂(うれ)うるに足(た)らんやと。
ご憂慮の必要はさらさらございません。