【富貴(フウキ)なれば則(すはわ)ち親戚(シンセキ)も之(これ)を畏懼(イク)し、貧賎(ヒンセン)なれば則ち之を軽易(ケイイ)す。】と読みまして、出世すれば親戚まで畏れはばかり、貧しくなるとばかにする、という意味です。
出典は『十八史略』春秋戦国:蘇秦合従です。
秦喟然歎曰、
秦(シン)喟然(キゼン)として歎(タン)じて曰く、
蘇秦はため息をついて言った、
此一人之身。
此れ一人之身なり。
以前の自分も、今の自分も、同じ一人の人間であるのに、
富貴則親戚畏懼之、貧賤則輕易之。
富貴なれば則ち親戚も之を畏懼し、貧賎なれば則ち之を軽易す。
出世すれば親戚まで畏れはばかり、貧賤になるとばかにする。
況衆人乎。
況(いわ)んや衆人をや。
まして他人はなおさらである。
使我有洛陽負郭田二頃、
我をして洛陽(ラクヨウ)負郭(フカク)の田(た)二頃(ニケイ)有らしめば、
もし、自分に洛陽の郊外の田が二頃ほどでもあったなら、
豈能佩六國相印乎。
豈(あ)に能(よ)く六国(リクコク)の相印(ショウイン)を佩(お)びんや、と。
六国の宰相の印を腰につけることができただろうか。
於是、散千金、以賜宗族朋友。
是(ここ)に於いて、千金を散じ、以て宗族(ソウゾク)朋友(ホウユウ)に賜(たま)ふ。
こうして、莫大な金をばらまいて、親族や友人にわかち与えた。