【朝(あした)には青糸(セイシ)の如くも暮(くれ)には雪となる】と読みまして、朝には緑なす黒髪も、夕べには雪のように真っ白になってしまう、という意味です。人生の移ろいやすく、極めてはかないことを言った言葉です。
白居易の『将に酒を進めん』という詩の中の言葉です。27句の七言古詩です。最初の8句まで掲載します。
君不見
君見ずや
君よ見たまえ
黄河之水天上来
黄河の水天上より来たるを
黄河が天から流れ落ちてくるのを。
奔流到海不復回
奔流海に到りて復(また)回(かえ)らず
奔流は海に注いで再び帰ることがない。
君不見
君見ずや
君よ見たまえ
高堂明鏡悲白髪
高堂の明鏡白髪を悲しむを
立派な家で、鏡に映った白髪を悲しむのを。
朝如青糸暮成雪
朝(あした)には青糸(せいし)の如くも暮(くれ)には雪となる
朝にはみどりの黒髪が、夕暮れには雪のように白くなってしまうのだ
人生得意須尽歓
人生意を得ば須(すべか)らく歓(かん)を尽くすべく
人生は楽しめるうちに、大いに楽しもうではないか。
莫使金尊空対月
金尊をして空(むな)しく月に対せしむる莫(なか)れ
黄金の酒樽をいたずらに月に向けておくことはないだろう