【屋下(オクカ)屋を架(カ)し,床上(ショウジョウ)床を施(ほどこ)す】と読みまして、屋根の下にさらに屋根を造り、床の上にさらに床を張ることを言います。転じて、人のまねをして、新味のないことをする喩えです。また、無駄なことを重ねる喩えでもあります。
出典は『顏氏家訓』序致です。
夫聖賢之書、
夫れ聖賢(セイケン)の書は、
聖人賢者の書は、
敎人誠孝,愼言檢迹,
人に誠の孝を教え,言を慎(つつし)み迹(セキ)を検(つつし)み,
人々に誠の孝を教えており、また言動を慎み、
立身揚名,亦已備矣。
身を立て名を揚(あ)ぐること,亦(ま)た已(すで)に備はれり。
身を立て名を揚げる道についても言を尽くしている。
魏晉已來,所著諸子,
魏晉、已來イライ),著す所の諸子(ショシ),
これに対し魏晉以来、人々が著した種々の書物は、
理重事複,遞相模效
理重なり事複し,遞(たが)いに相(あい)模效(ボコウ)す。
道理も事実も重複しており、互いに人のやり方をまねたものに過ぎず、
猶屋下架屋,床上施床耳
猶ほ屋下屋を架し,床上床を施すのみ。
ちょうど、屋根の下にさらに屋根を造り、床の上にさらに床を張るようなものである。