管仲夷吾と鮑叔牙がお互いに相手を信頼し合い、利害得失があっても少しも友情を変えませんでした。
【管鮑の交わり】と言います。
この【管鮑の交わり】を意識して、唐の時代、杜甫が長安で貧しい生活をしていた41歳頃、「貧交行」と題する七言四句の詩を作りました。
翻手作雲覆手雨
手を翻(ひるがへ)せば雲となり 手を覆(くつがへ)せえば雨となる。
手を上に向けると曇り、下に向けると雨になる。
紛紛輕薄何須數
紛紛(フンプン)たる軽薄(ケイハク)なんぞ数(かぞ)うるを須(もち)いん。
薄情な人間が多すぎて、いちいち数える気もしない。
君不見管鮑貧時交
君見ずや管鮑(カンポウ)貧時(ヒンジ)の交わり、
あんた、知ってるかい、管鮑の交わりを
此道今人棄如土
此の道 今人(コンジン)棄(す)つること土(つち)の如し。
今の奴ら、土くれのように捨てっちまった。 嘆かわしいことだ。