『交響曲第9番ニ短調作品125』。年末よく演奏される「第九」の曲名です。戦後、貧しかったオーケストラが、いわゆる「もち代稼ぎ」で、1940年代後半あたりから始めたといわれています。
ベートーベンがシラーの詞『歓喜に寄せて』に感動し、曲をつけようと思い立ったのは、22歳のころです。まだ交響曲第1番も作曲していない時期でした。実際に交響曲第9番の作曲が始まったのは、46歳頃のようです。
20代後半から難聴に悩まされ、40代に入るとさらに悪化していき、晩年の10年はほぼ聞こえない状態に陥っていたそうです。第九の作曲はそんな時に行われました。
53歳の頃完成し、5月7日ウィーンで初演されましたが、この時既に聴力を失っていたため、指揮は出来ませんでした。
「苦悩を突き抜けて歓喜に至れ」。 第九に込められた思いなのでしょうか。
55歳12月に肺炎を患い、病状が急激に悪化し、10番目の交響曲に着手するのですが、未完成のまま、翌1827年3月26日、56年の生涯を終えました。その葬儀には2万人もの人々が駆けつけたそうです。