【漸(ようや)く佳境(カキョウ)に入(い)る】と読みまして、次第に良い境地に入っていく、という意味です。
出典は『晉書』顧愷之傳です。
画家として著名な東晉の顧愷之にまつわるお話です。
顧愷之は、大変な奇人で、当時「三絶(三つの世にもまれなる面)」の持ち主だと言われていました。
「才絶:才のきわみ」、「画絶:画才のきわみ」、「痴絶:阿呆のきわみ」だそうです。
毎食甘蔗
甘蔗(カンショ)を食ふ毎に
甘蔗(さとうきび)を食べるとき、
恒自尾至本
恒に尾より本に至る
いつも先端の方から食べ始めて根本の方へ進んだ
人或怪之
人或いは之を怪しむ
人はこれを不思議に思い、(そのわけを問うと)
云漸入佳境
云ふ漸く佳境に入る
だんだんうまいところに入っていくからだ、と(顧愷之は)答えた