【政(まつりごと)を為(な)すに須(すべか)らく知(し)るべき者(もの)五件(ゴケン)有(あ)り。】と読みまして、政治を行うに当たって、知っておくべきことが五件ある、という意味です。
出典は『言志後録』79条
爲政須知者有五件
政を為すに須らく知るべき者五件有り。
政治を行うに当たって、知っておくべきことが五件ある、
曰、軽重、
曰く、軽重(ケイチョウ)、
財政上の軽重を計る、
曰、時勢、
曰く時勢(ジセイ)、
時勢を見抜いて事を処することで、時勢に遅れてはいけないし、
先走っては民衆がついてこない、
曰、寛厚、
曰く、寛厚(カンコウ)、
人に接するに寛やかに厚く、よく人の言葉を入れ人情に厚いこと、
曰、鎮定、
曰く、鎮定(チンテイ)、
動乱や紛争をしずめ平和の維持を計ること、
曰、寧耐、是也。
曰く、寧耐(ネイタイ)、是れなり。
心を安静にして、よく忍耐すべきこと。
これらの外、
賢人を登用し
佞人(弁才ありて心の正しからざる人)を遠ざけ
農業を勧め
租税を軽くし
奢侈を禁じ
倹約を貴び
老人を優遇し
幼児を慈しむ
などいずれも必要なことであり、これらはみな人の知るところである