【枕戈待旦:チンカタイタン】は、訓読しますと【戈(カ)を枕(まくら)にして旦(あした)を待(ま)つ】です。
戦いの準備をいつも怠らないたとえです。
出典は『晉書』劉琨傳です。
劉琨(リュウコン)は、中国西晋時代から五胡十六国時代にかけての武将であり政治家でした。
劉琨の親友に祖逖(ソテキ)という人がいました。
その親友であった祖逖が自分より先に官に任用されると聞いて、親友に手紙を寄せました。
與范陽祖逖爲友、
范陽(ハンヨウ)の祖逖と友たり、
范陽の祖逖と親しかった、
聞逖被用、
逖の用い被(ら)るるを聞きて、
逖が官に用いられるのを聞きて、
與親故書曰、
親(シン)故(ゆえ)に書を與(あた)えて曰く、
親友なるがゆえ、敢えて手紙を送って言いました、
吾枕戈待旦。
吾 戈(カ)を枕として旦(あした)を待ち、
自分は戈(ほこ)を枕がわりにして、つねに朝まで戦闘準備をしていた。
志梟逆虜、
逆虜(ゲキリョ)を梟(キョウ)せんと志す。
国に刃向かう逆賊どもの首をさらしものにせんと志してきた。
常恐祖生先吾著鞭
常に祖生(ソセイ)の吾に先んじて鞭(ベン)を著(つ)けんことを恐る。
祖逖がわたしより先に戦場に駆けつけてしまうのではないかと
いつも心配していたからだ、と言った。
【先鞭(センベン)を著(つ)く】の出典となった文章でもあります。