【関雎(カンショ)の楽(たの)しみ】と読みまして、夫婦の仲が睦まじく、家庭がよくおさまっていることを表した言葉です。と言われていましたが、最新の解釈としては、巫女による宗廟での祖霊のまつりを歌ったものだそうです。
出典は『詩経』周南です。
訓読、通釈ともに新釈漢文大系の『詩経』によるものです。
關關雎鳩、在河之洲
關關(カンカン)たる雎鳩(ショキュウ)は、河の洲(す)に在り
カンカンと鳴くミサゴ鳥が、黄河の中州におりたつ
窈窕淑女、君子好逑
窈窕(ヨウチョウ)たる淑女(シュクジョ)は、君子(クンシ)の好逑(コウキュウ)
たおやけき巫女は、祖霊のつれあい
參差荇菜、左右流之
參差(シンシ)たる荇菜(コウサイ)、左右に流(もと)む
高く低くしげる沼のアサザを、左に右に選びとる。
窈窕淑女、寤寐求之
窈窕(ヨウチョウ)たる淑女(シュクジョ)は、寤寐(ゴビ)に求(もと)む
たおやけき巫女は、夢にまで祖霊の降臨を求め願う。
求之不得、寤寐思服
之(これ)を求めて得(え)ざれば、寤寐(ゴビ)に思服(シフク)す
求めて得られぬとて、夢にまでも繰り返し思いつめる
悠哉悠哉、輾轉反側
悠(ユウ)なる哉(かな) 悠(ユウ)なる哉(かな)、輾轉(テンテン)反側(ハンソク)す
ああ憂しきかな、伏まどいつつ夜をすごす。
參差荇菜、左右采之
參差(シンシ)たる荇菜(コウサイ)、左右に采(と)る。
高く低くしげる沼のアサザを、左に右に選びとる。
窈窕淑女、琴瑟友之
窈窕(ヨウチョウ)たる淑女(シュクジョ)は、琴瑟(キンシツ)もて友(した)しむ。
たおやけき巫女は、宗廟で琴瑟を奏でて(祖霊を呼ぶ)
參差荇菜、左右芼之
参差(シンシ)たる荇菜(コウサイ)、左右に芼(と)る。
高く低くしげる沼のアサザを、左に右にと抜きとる。
窈窕淑女、鍾鼓樂之
窈窕(ヨウチョウ)たる淑女(シュクジョ)は、鍾鼓(ショウコ)もて樂しむ。
たおやけき巫女は、宗廟で鍾(かね)と+鼓(たいこ)を鳴らして(祖霊を招く)。