生まれながらの素質は同じだが、教育によって、その後の人間に違いがでてくることを表した四字熟語です。
【同声】は、赤ん坊の泣き声は、誰でも皆同じということです。
【異俗】は、教育によって、異なった風俗習慣を身につけてしまう、という意味です。
【同声異俗】は一連の文章
【生まれて声を同じくすれど、長じて俗を異(こと)にす】を短くして四字熟語にしたものです。
『荀子』勧學を出典とします。
干越夷貉之子、
干(カン)越(エツ)夷(イ)貉(バク)の子、
干や越や夷や貉といった異民族の子供らは、
生而【同声、長而異俗】、
生まれて声を同じくすれど、長じて俗を異(こと)にするは、
生まれたときは同じように産声を上げるが、成長すれば異なった風俗・習慣を身に付ける、
教使之然也。
教(キョウ)之(これ)をして然(しか)らしむるなり。
これは教育がそうさせているのである。
「干」は、呉の近くの国。
「越」は、【臥薪嘗胆】、【呉越同舟】、【会稽の恥】といった語を生み出した南方の異民族の国。
「夷」は、東方の異民族の国、
「貉」は、北方の異民族の国。
荀子は「人間の本性は悪である」という「性悪説」を唱えました。
「悪」であるからこそ、教育と学習が必要であるとして、『荀子』の第一篇は学を勧める「勧学」となっています。