【歳寒(サイカン)の人】と読みまして、逆境にあっても節操や志を変えない人を言います。
【歳寒】は、冬の寒く厳しい季節のことで、乱世や逆境のたとえを言います。
『論語』子罕(シカン)篇に、常緑樹の松や柏の強靭さを例にして、人間も危機や逆境に直面してはじめて、その人の本質がわかる、という意味で、短文ですが記載があります。
出典は『論語』子罕篇です。
「子曰」を除きますと漢字11字の短い文章ですが、言わんとしていることはそれを超えています。
子曰、歳寒、然後知松柏之後彫也。
子日く、歳寒くして、然る後に松柏の彫(しぼ)むに後(おく)るるを知るなり。
孔子が言いました、冬が来て寒くなってくると、木々は皆枯れてしまうが、
松や柏などの常緑樹はいつ迄も枯れずに存在感を示している、と。
諸国遍歴を続け、何度も苦境に陥った孔子は、危機や逆境になると、掌を返したように態度を変える人を嫌というほど見てきたことでしょう。
だからこそ、そんな時にも、決して流されない者の強靭さを言いたかったのではないでしょうか。