血気にはやる、あさはかで無分別な勇気のことを言います。
【小人】は身分の低い者、つまらない人物のことをいっています。
荀子は人間の勇気には四種類あると言いました。
出典は書物としての『荀子』栄辱篇にでてきます。
荀子(ジュンシ。B.C.313年? ~B.C.238年?)は、
中国戦国時代末の思想家・儒学者で諱は況(キョウ)、字は卿(ケイ)。
孟子の性善説に対して、性悪説を主張しました。韓非子(カンピシ)や李斯(リシ)の師でもあります。
さてその四種類の勇気とは
1) 㺃彘(コウテイ)之勇:㺃は犬のことで、彘は豚のことです。
先を争って飲み食いし、恥を知ること無く、善悪を知らず、怪我や死も恐れず、相手の数や力を
畏れず、貪欲にただ飲み食いだけを求めるのは、犬豚の勇である。
2) 賈盜(コトウ)之勇:賈は店を開いて売る商人のことで、盜は盗人のことです。
自分の利益となるようなことにおいてのみ努力し、財貨を争って人に譲ったりするようなことはなく、
果敢に動くのはいいけれど、貪欲にただ利益にのみ目をつけるのは、商人盗人の勇である。
3) 小人(ショウジン)之勇
死を軽んじて暴れるだけなのは小人の勇である。
4) 士君子(シクンシ)之勇
道義のためには、権力にも屈服することなく、利益を顧みることもなく、死を重いものだと心得て、
固く道義を守ってくじけないのは、これこそ士君子の勇である。
戦国時代、一般的に「栄」は名誉富貴を得ることで、その反対が「辱」であると考えられていたようですが、
真実の「栄辱」はそうではなく、人が礼を行うか否かで「栄辱」が分かれるのである、と
荀子は『荀子』栄辱篇で述べています。