【禍福(カフク)、門(モン)無(な)し】と読みまして、災や幸福は一定の入り口がある訳でない、その人自身が招くものです。その人の心がけ次第で災いにもなれば、幸せにもなるものです、といった言葉です。
出典は『春秋左氏伝』襄公二十三年です。
面白くない立場に置かれた公鉏(コウショ)が、出仕しないで家に閉じ籠もったままでいたのを、
閔子馬(ビンシバ)という人が諫める場面で【禍福、門無し】が使われています。
子無然
子 然(しか)すること無(な)かれ
家に閉じこもりっきりというのはお止めなさい
禍福無門、唯人所召
禍福は門無し、唯だ人の召(まね)く所(ところ)なり
禍福には決まった入り口が有る訳ではありません。ただ、人みずからが招くものです。
爲人子者患不孝
人の子爲る者は、孝ならざるを患(うれ)へ
人の子として生まれてきた者は、親に不幸であることを心配すべきで、
不患無所、敬共父命
所無きを患へず、父命(フメイ)を敬共(ケイキョウ)せよと。
地位が低いことを気にしてはいけません。お父上の命令を慎んでお受けなさい。