【虎穴(コケツ)に入(い)らずんば、虎子(コシ)を得(え)ず】と読みまして、虎の住む穴に入らなければ、虎の子は得られない。何事でも危険を冒さなければ、大きな利益や成果を得ることは出来ないという喩え。
出典は『後漢書』班超(ハンチョウ)伝です。
班超が鄯善(ゼンゼン)国に使者として行った時、初めは歓迎されていたのですが、次第に雰囲気が悪くなってきました。探りを入れて見ると、その時北匈奴の使者も来ていたことが分かりました。
このままでは殺されると考えた班超は怯(おび)える部下達に
不入虎穴、不得虎子。
虎穴に入らずんば、虎子を得ず。
危険を冒さなければ、大きな成果は得られない
当今之計、獨有因夜以火攻虜、
当今之計、独(ひと)り夜に因り火を以て虜を攻め、
さしあたっての作戦としては、夜陰に乗じて匈奴の宿舎に火を放って、
使彼不知我多少
彼をして我の多少を知らざらしむること有るのみ。
敵に我が軍の兵力を知られないようにする。
必大震怖、可殄盡也。
必ず大いに震怖し、殄尽(テンジン)すべきや。
必ず敵を震え上がらせ恐怖のどん底に陥(おとしい)れ、滅ぼし尽すことが出来るだろう。
と勇気付けて、北匈奴の一団に切り込みました。
班超たちは36人。北匈奴ははるかに多かったが奇襲を受けて、慌てふためき、見事班超たちの大勝に終わりました。これにより鄯善国は漢に降伏しました。