【命(メイ)を知る者は、巖牆(ガンショウ)の下(もと)に立たず】と、読みまして
天命を心得た人は、危なっかしい岩石や崩れかかった石塀の下などには、(不慮の死を招くことがあるから)決して立たないものだ、という意味です。
出典は『孟子』盡心章句です。
孟子曰、
孟子曰く、
孟子が言いました。
莫非命也、順受其正。
命に非ざる莫(な)きも、其の正(命)を順受(ジュンジュ)すべし。
(人間が短命であるか、長寿を全うできるかは)、すべて天命でないものはないが、
正しい天命(正当な運命)をすなおに受ける心構えが必要だ。
是故知命者、不立乎巖牆之下、
是の故に命を知る者は、巖牆の下に立たず。
だから、天命を心得た人は、危なっかしい岩石や崩れかかった石塀の下などには、
(不慮の死を招くことがあるから)決して立たないものだ。
盡其道而死者、正命也、
其の道を盡(つ)くして死する者は、正命なり。
人間としてなすべき正しい正しい道に力を尽くして死ぬのは、
(いわゆる人事を尽くして天命を待つ)正しい天命なのだ。
桎梏死者、非正命也。
桎梏(シッコク)して死する者は、正命に非ざるなり。
罪を犯して手かせ足かせをかけられて獄死するのは、正しい天命ではないのだ。