時間は大切であるということのたとえです。
【尺璧(セキヘキ)は宝に非(あら)ず】と訓読みされます。
【尺璧】は、一尺(中国周代では、約22.5㎝。日本では、30.3㎝)もある大きな宝玉のことです。
この宝玉も時間の大切さに比べたら、宝に非(あら)ずとなります。
【尺】を「セキ」と読むのは漢音読みです。呉音読みにしますと「シャク」です。
『淮南子:エナンジ』原道訓篇にでています。
時の反側(ハンソク)せるは、閒(カン)、息(ソク)を容(い)れず。
時が推移するのは、息をつく間もなく流れていく。
之に先んずれば則ち太(はなは)だ過ぎ、
先んじては早きに失し
之に後るれば則ち逮(およ)ばず。
遅れれば間に合わない。
夫(そ)れ日回(めぐ)り月周(めぐ)りて、時は人と游ばず。
日はめぐり月はめぐって、 時は人に足並みをそろえてはくれない。
故に聖人は【尺の璧を貴(たっと)ばずして、寸の陰を重んず】。
ゆえに聖人は一尺の宝玉を貴ぶこと無く、一寸の光陰を大事にする。
時の得難(えがた)くして失ひ易(やす)ければなり。
時は得がたく、また失い易いからである。
今日2月11日は『建国記念の日』です。
古代中国の占いで「讖緯説(シンイセツ)」というのがありまして、それによりますと
「辛酉(シンユウ・かのととり)」は「天が命を改め、王朝を立てる」年であり、21回(60年×21=1260年)ごとに大変革が起きるとされています。
聖徳太子が斑鳩の里に、宮殿を建てた601年が辛酉の年であったので、その1260年前(紀元前660年)を、神武天皇の即位の年すなわち日本の建国の年としたそうです。
日本書紀(720年完成)の編纂に携わった人たちは、これを利用して神武天皇の即位日を決めたようです。
それが今の暦では2月11日にあたり『建国を記念する日』、すなはち『建国記念の日』となりました。