【長(チョウ)ずるを助けんとして苗(なえ)を拔(ぬ)く】と読みまして、急いで成長させようとして無理に力を添えて、かえってこれを害することを言います。
出典は『孟子』公孫丑(コウソンチュウ)上です。
宋人有閔其苗之不長而揠之者。
宋人(ソウひと)に其の苗の長(チョウ)ぜざるを閔(うれ)えて、之を揠(ぬ)く者有り
宋の国の人で、(畑の)苗の成長が遅れているのを心配して、
何とか早めたいものと、一本一本引っ張ってやった。
芒芒然歸、謂其人曰、
芒芒然(ボウボウゼン)として帰り、其の人に謂いて曰く、
グッッタリ疲れきって家に帰るなり、家のものに言いました、
今日病矣。予助苗長矣。
今日(キョウ)病(つか)れたり。予(われ)苗を助(たす)けて長(チョウ)ぜしむ、と。
『ああ、今日は疲れたワイ。苗をみんな引き延ばしてやったものだから。』、
其子趨而往視之、苗則槁矣。
其の子趨(はし)りて往(ゆ)きて之を視(み)れば、苗則(すなわ)ち槁(か)れたり。
息子がいそいで田んぼへかけつけて見たら、苗はすっかり枯れてしまっていました。
天下之不助苗長者寡矣。
天下の苗を助けて長ぜしめざる者寡(すくな)し。
世間にはこうした馬鹿げたことをする者が少なくない。