【枯樹 華(はな)を生ず】と読みまして、非情な困難の中で活路が開けることの譬えです。
また、老いて衰えた人が生気を取り戻すことの譬えでもあります。
出典は『續博物誌』です。
昔、ある人が不老不死の道を好んだのですが、そのやり方が分からなかったので、朝晩枯れ木の
前に跪いて、不老不死の道を願い求めて二十八年もの間祈り続けました。
枯樹一旦忽生華
枯樹(コジュ)一旦(イッタン)忽(たちま)ち華を生ず
ある朝、突然、枯れ木に花が咲きました。
華又有汁、甜如蜜。
華また汁有り、甜(あま)きこと蜜の如し。
花には蜜のようなあまい汁がありました。
有人教令食之。
人有り、教えて之(これ)を食(く)らは令(し)む。
ある人が、それを食べなさいと教えました。
遂取此華及汁並食之。
遂にこの華および汁を取りて、並びに之を食らふ。
その花と蜜をとって、一遍に食べてしまいました。
食訖即仙。
食らひ訖(お)われば即(すなは)ち仙となれり。
食べ終わるや否や仙人になってしまいました。