【一朝(イッチョウ)一夕(イッセキ)の故(ゆえ)に非(あら)ず。】と読みまして、大事は短時間のうちに起こるものではないから、大事にならない早いうちに注意しなさい、という教えです。
出典は『易経』文言傳です。
積善之家、必有余慶。
積善(セキゼン)の家には必ず余慶(ヨケイ)有り。
善い行いを積み重ねた家では、善いことが子孫に及びます。
積不善之家、必有余殃。
積不善(セキフゼン)の家には必ず余殃(ヨオウ)有り。
善くない行いを積み重ねた家には、必ず善くないことが子孫に及びます。
臣弑其君、子弑其父、
臣(シン)にして其(そ)の君(きみ)を弑(シイ)し、子にして其の父を弑するは、
臣下の身で君主を殺したり、子が親を殺したりするのは、
非一朝一夕之故。
一朝一夕の故に非ず。
決して、きのう今日 急に起こった事ではない。
其所由來者漸矣、
其の由(よ)りて来たる所の者は漸(ゼン)なり、
その訳は、積もり積もってそうなったのであり、
由辯之不早辯也。
之(これ)を弁(ベン)じて早く弁ぜざるに由(よ)るなり。
早いうちに、その訳を見極めて適当な処置をとらなかった結果なのである。