【逆鱗(ゲキリン)に嬰(ふ)るる】と読みまして,目上の人を激しく怒らせることを言います。
出典は『韓非子』説難(ゼイナン)篇です。
夫龍之爲虫也
夫れ龍の虫爲るや、
そもそも龍という動物は、
可柔狎而騎也
可柔狎して騎(の)るべきなり。
それを飼いならして乗ることもできる。
然其喉下有逆鱗徑尺、
然れども其の喉下に逆鱗徑尺なるもの有り、
しかし、そののどの下に直径一尺ほどの逆さの鱗があって、
若人有嬰之者
若し人これに嬰るる者有らば、
もし誰かがそれに触ったりすると、
則必殺人
則ち必ず人を殺す。
必ずその人を殺してしおまう。
人主亦有逆鱗
人主もまた逆鱗あり。
同じように、君主にもこの逆鱗がある。
説者能無嬰人主之逆鱗
説く者、よく人主の逆鱗に嬰(ふ)るること無くば
意見を述べる人は、その逆鱗に触らぬよう進言ができれば
則幾矣
すなわち幾(ちか)からむ。
成功が期待できる。