【人を謀(はか)れば、人も亦(ま)た己(おのれ)を謀(はか)る。】と、読みまして、人を陥れようとたくらめば、自分もまた人のたくらみによって陥れられる、という意味です。
出典は『左伝』宣公十四年です。
公孫歸父會齊侯于穀。
公孫(コウソン)歸父(キホ)、齊侯に穀に會す。
公孫歸父、齊侯と齊の穀で会合しました。
見晏桓子、與之言魯樂。
晏桓子を見て、之と魯の樂しきを言う。
歸父は齊の晏桓子(アンカンシ)に面会して、魯国の樂しいことを話した。
桓子告、高宣子曰、
桓子、高宣子に告げて曰く、「
(それを聞いた)桓子が同僚の高宣子に向かって言いました、
子家其亡乎。懐於魯矣。
子家(帰父の字)は其れ亡びんか。魯を懐えり。
子家きっと亡びるだろう、魯の高位に満足して執着している。
懐必貪、貪必謀人。
懐えば必ず貪り、貪れば必ず人を謀る。
魯の高位に満足して執着していると、(きっとそれをむさぼり求める欲心が深くなり)
その果ては人を陥れようとたくらむようになる。
謀人、人亦謀己。
人を謀れば、人も亦た己を謀る。
人を陥れようとたくらめば、自分もまた人のたくらみによって陥れられる、
一國謀之、何以不亡。
一國之を謀らば、何を以てか亡びざらん。 国中の者が帰父を陥れようとたくらめば、どうして亡びないことがあろうか。