【先発(センパツ)すれば人を制(セイ)す】と読みまして、先に手を下せば必ず相手に勝つ、という意味です。
出典は『漢書』項籍伝です。
項梁・項羽が旗揚げをするきっかけとなった出来事を、
『史記』項羽本紀では、【先即制人:先(さき)んずれば、即ち人を制す】と記述し、
『漢書』項籍伝では【先發制人:先発すれば人を制す】と記述しています。
以下は『漢書』項籍伝の記述です。
秦二世元年、陳勝起。
秦の二世元年、陳勝起(おこ)る。
秦の二世元年、陳勝が蜂起しました。
九月、会稽仮守通、素賢梁。
九月、会稽の仮の守:殷通(イントウ)、素(もと)より項梁を賢とす。
九月、会稽の仮の知事:殷通(イントウ)は、以前から項梁に一目置いていました。
乃召爲計事。
乃(すなは)ち召(め)して爲(とも)に事を計る。
共に事を起こそうと相談しました。
梁曰、方今、江西皆反秦。
梁曰く、今(いま)方(まさ)に江西皆秦に反す。
項梁が言いました、今や江西地方は皆秦にそむいております。
此亦天亡秦時也。
此れ亦(また)天の秦を亡ぼす時なり。
此れは、天が秦を亡ぼす時機であります。
先発制人、後発制於人。
先発すれば人を制し、後発すれば人に制せらる。
先に手を下せば必ず相手に勝ち、後れて手を下せば必ず相手に敗れるであろう。