世の変転のはなはだしいことのたとえを言った四字熟語です。
【桑田変じて滄海となる】を略したものです。
【桑田滄海】を逆にして【滄海桑田】ともいいます。
また【桑田碧海:ソウデンヘキカイ】、【桑田成海:ソウデンセイカイ】、【滄桑之変:ソウソウのヘン】とも言いまして、類似の表現が結構あります。
唐の詩人、盧照鄰(ロショウリン:637年?~689年)に「長安古意:チョウアンコイ」という 7言×68句の詩があります。この詩の62句目に【桑田碧海】がでてきます。
盧照鄰は王勃(オウボツ)・楊炯(ヨウケイ)・駱賓王(ラクヒンオウ)とともに初唐の四傑と称せられています。
61) 節物風光 相待たず
折々の風物・景色 同じならず
62) 桑田碧海 須臾(シュユ)に改まる
桑田も、たちまちにして変わる青海原
63) 昔時(セキジ)の金階(キンカイ) 白玉(ハクギョク)の堂
昔の黄金の階段も、白玉の部屋も
64) 即今(ソクコン)唯(た)だ青松(セイショウ)の在(あ)るを見るのみ
今はただ、青松を見るばかり。
また同じ唐の詩人、劉廷芝(リュウテイシ:651年~ 679年)の「白頭を悲しむ翁に代わる」と題しました7言×26句の詩がありまして、【桑田変じて海となる】の表現があります。
5) 今年(コンネン)花落ちて顔色改まり
今年も花散りゆき 人の容色またおとろえ
6) 明年(ミョウネン)花開くも復(ま)た誰か在(あ)る
来年も花開き 誰が健在でそれを見られるであろうか
7) 巳(すで)に見る 松柏(ショウハク)のくだけて薪(たきぎ)と為るを
我々は知っている 松や柏もいつかは伐(き)られて薪となるのを
8) 更に聞く 桑田の変じて海と成るを
またこうも聞いている、桑畑も年が立つうちに海になることもある。
尚この劉廷芝の「白頭を悲しむ翁に代わる」の詩には、有名な
『年年歳歳花あい似たり 歳歳年年人同じからず』
の句がでています。
福島は、千年に一度と言われた天災と
安全神話のウソを教えてくれた人災で
【桑田滄海】の如き状態です。
復興には、千年に一度の大英断で臨まなければいけないと思います。
必要な人・金・物を無尽蔵につぎ込む心意気でやらなければ、復興は出来ないと思います。