【雲のごとく蒸(ジョウ)し龍のごとく変(ヘン)ず】と読みまして、英雄や豪傑が時運に乗じて活躍することを言います。天に昇る龍は雲を巻き上げ、変幻自在に活動して勢いを増すことを表します。
出典は『史記』魏豹(ギヒョウ)・彭越(ホウエツ)伝で司馬遷のコメントにあたる、太子公曰くのなかで記載されています。
太子公曰く
魏豹・彭越は卑しい身分の出身ではあったが、千里の地を席巻し、敵を殺して勝ちに乗じ、その
名声は日ごとに高まった。
ところが、叛逆の意をいだいて敗れると、自決せずに虜囚の身となり、刑戮をこうむったが、
これはなぜであろうか。
得攝尺寸之柄、
尺寸(セキスン)の柄(ヘイ)を攝(も)つを得(え)ば、
わずかでも権力を握ることができれば、
其雲蒸龍變、
其の雲のごとく蒸し龍のごとく變じ、
機会を見て雲のごとく立ち上がり、龍のごとく変化して、
欲有所會其度。
其の度(ド)に會ふ所有らんと欲す。
思いのままに活躍することを狙ったものである。
以故幽囚而不辭云。
故をもって幽囚(ユウシュウ)せられて辭(ジ)せざれしと云う。
このために捕虜となることも辞さなかったのである
今年 令和6年は『甲辰:コウシン。きのえたつ』です。
『甲』 は、十干の一番目の文字で、物事の「はじまり」を象徴し、
『辰』は、万物が成長して動きが盛んになる象徴とされています。
つまり、今年は「物事のはじまり」と「大きな成長」の年と言えそうです。
十二支の動物が選定された紀元前3世紀半ば頃の中国の知識人は
『きわめて稀に姿を現わす、龍という尊い生き物がいる』と、龍の実在を信じていたようです。
架空の生き物ではなかったのです。