【寒(カン)を救(すく)うは裘(キュウ)を重(かさ)ぬるに如(し)くは莫(な)し】と読みまして、寒さを防ぐには皮ごろもを重ねて着るのがいちばんである、という意味です。
出典は『中論』虚道です。
『中論』といいますのは、大乗仏教のもっとも中心となる書物で、2~3世紀インドの学者:龍樹(リュウジュ)によるものだそうです。
故語稱
故語が称するに
古い言葉に、
救寒莫如重裘,
寒さを救うは裘(かわごろも)を重ねるに如くは莫く、
寒さを防ぐには皮衣を着るのが一番だし、
止謗莫如修身,
謗(そし)りを止めるに身を修めるに如くは莫く、
謗りを免れるには身を修めるのが一番だし、
療暑莫如親冰,
暑(あつさ)を療(い)やすに冰(こおり)に親(した)しむに如くは莫しと、
暑さを防ぐには氷で冷やすのが一番だ、
信矣哉。
信(まこと)なるかな。
これが真実と云うものだろう。