才能などを外にあらわにしないこと。
美しい錦の着物を着た上に、薄い単衣(ひとえ)を羽織って、その美しさを外に現さないようにする。
君子は謙虚でいることの例えとして言われる四字熟語です。
【錦を衣(き)て絅(ケイ:薄い絹のうちかけ)を尚(くわ)う】と訓読みされます。
【衣錦尚絅】は『四書五経』の『四書:大学。中庸。論語。孟子』である『中庸』19章にでています。
詩に曰く
詩経にいう
錦を衣て絅を尚う、と
錦の衣を着てその上から薄い絹のうちかけをかける、とあるのは、
その文の著(あら)わるるを悪(にく)むなり。
錦の模様がきらびやかに外に出るのを嫌ったものである。
故に君子の道は、
そこで、君子の踏み行う道は、
闇然として而(しか)も日々に章(あきら)かに
人目をひかないで、それでいて日に日に(その真価が)現れてくるものだが、
小人の道は、
つまらない小人の道は、
的然として而(しか)も日々に亡ぶ。
はっきりして人目を引きながら、それでいて日に日に消え失せてしまう。
素晴らしい才能であるならば、あらわにしなくとも次第に明らかになり、おのずと人に知られるようになるので、無理にひけらかすのを戒めた四字熟語でもあります。