【三豕(サンシ)河(かわ)を渉(わた)る】と、読みまして、文字を誤用、誤読するたとえです。
「己亥(キガイ)に河を渉る」と読むべきところを、【三豕河を渉る】と読んだ故事です。
出典は『呂氏春秋』察傳です。
子夏之晉過衞、有讀史記者。
子夏、晉(シン)に之(ゆ)かんとして衞(エイ)を過(す)ぐるに、史記を讀む者有り。
子夏が晉に行こうとして衞を通り過ぎたところ、史記を読んでいる者がいました。
曰晉師三豕渉河。
曰く、晉の師三豕河を渉る。
晉の師三豕河を渉る、と読みました。
子夏曰、非也。是己亥也。夫己與三相近、豕與亥相似。
子夏曰く、非ず。是れ己亥(キガイ)なり。夫れ三と己と相い近し、豕と亥と相い似たり。
子夏が言いました、そうじゃない。己亥です。三と己、豕と亥とは字形が似ているから。
至於晉而問之、
晉に至りて之を問へば、
晉に到着して、このことを聞いてみると、
則曰、晉師己亥渉河也。
則ち曰く、晉の師己亥に河を渉るなり、と。
晉の師己亥に河を渉るなり、ということであった。。