【九層(キュウソウ)の台(ダイ)も累土(ルイド)より起こる。】と読みまして、九階建ての高層住宅も、もっこ一杯の土を積み重ねることからはじまる、という意味です。
小さなことを積み重ねて、ついには大きなことに至る、と老子は言っています。
出典は『老子』64章です。
其安易持、其未兆易謀。
其の安きは持し易(やす)く、其の未(いま)だ兆(きざ)さざるは謀(はか)り易し。
安定している時には維持しやすく、兆しがないうちは手を打ちやすい。
其脆易泮、其微易散。
其の脆(もろ)きは泮(わ)け易く、其の微(ビ)なるは散(サン)じ易し。
脆いうちは分解しやすく、微(かす)かなうちは散らしやすい。
爲之於未有、治之於未亂。
之を未だ有らざるに為(な)し、之を未だ乱れざるに治む。
ことが生じないうちに対処し、まだ乱れないうちに治めておく。
合抱之木、生於毫末、
合抱(ゴウホウ)の木も毫末(ゴウマツ)より生じ、
一抱えもある大木も毛先ほどの芽から生長し、
九層之臺、起於累土、
九層の台も累土より起こり、
大きな建物も、もっこ一杯の土を積み重ねることからはじまり、
千里之行、始於足下。
千里の行も足下(ソッカ)よりはじまる。
千里の道も一歩から始まる。
爲者敗之、執者失之。
為(な)す者はこれを敗(やぶ)り、執(と)る者はこれを失う。
(そうした基本を忘れて)何かをしようとする者は失敗し、
何かに執着する者はかえって失う事になる。