天に昇りつめた竜は、これ以上昇る所が無いのを後悔しているという意味を表している四字熟語です。
【亢】は、「たかぶ・る」と言う意味です。亢奮=興奮の熟語があります。
【亢竜】は、のぼる竜、昇りつめた竜です。
『易経』に出ている四字熟語です。
『易』は「陽」と「陰」の組み合わせで8種類の卦(カ)を構成します。さらにそれらを組み合わせて、
8×8=64種類の卦ができます。この64種類の卦それぞれに意味が与えられまして、いろんな占いが出来るようです。
「当たるも八卦,当たらぬも八卦」はここから来ています。
一つの卦は、6個の「陰」と「陽」からできていまして、それにも意味を持たせてあり、結局6×64=384種類の占いというか、意味が得られるわけです。
この【亢竜有悔】は6個が全部「陽」という卦です。6個の「陽」それぞれに、また意味があります。
1番目の陽は 潜竜。勿用。
潜竜なり。用うるなかれ。
地下に潜む竜で、軽々しくこれを用いること無く、時機の到来を待つべきである。
2番目の陽は 見竜在田。利見大人。
見竜田に在り。大人を見るに利(よ)ろし。
竜が田に姿を表したように、その才徳もようやく明らかになり、目上の人に
認められれば、おのれを伸ばす好機会である。
3番目の陽は 君子終日乾乾、夕惕若。厲无咎。
君子終日乾乾し、夕べに惕若(テキジャク)たり。厲(あや)うけれども咎(とが)なし。
君子たる者、終日つとめはげみ、夕べにまた反省して惕(おそ)れ慎むことを
忘れなければ、危ないながら咎は免れる。
4番目の陽は 或躍在淵。无咎。
或いは躍りて淵に在り。咎なし
将来の躍進を目前にして、なお深淵に臨む時の心構えで身を慎めば咎は免れる。
5番目の陽は 飛竜在天。利見大人。
飛竜天に在り。大人を見るに利(よ)ろし。
飛んで天に昇った竜。才徳が充実し志を得て人の上に立った者にもたとえられるが
なお地上の賢者を得てその助けを借りることを心掛けるがよい。
6番目の陽は 亢竜有悔。
亢竜悔有り。
天に昇りつめた竜。勢いを極めておごり亢(たか)ぶればかえって悔いを残すことに
もなるので、良く慎むこと。
大相撲史上最多の32回の優勝を記録した元横綱大鵬の納谷幸喜(なや・こうき)さんが亡くなられました。