【薪(たきぎ)を抱(いだ)きて、火を救う。】と読みまして、薪を抱えて、火を消しに行く、すなわち災害を除こうとして、かえって害を大きくすることのたとえです。
出典は『戦国策』魏策です。
夫姦臣固皆欲以地事秦。
夫(そ)れ姦臣(カンシン)、固(もと)より皆、地を以て秦に事(つか)へんと欲す。
そもそも、奸(よこし)まな家臣は、皆、領土によって秦に仕えようと考えています。
以地事秦,譬猶抱薪而救火也。
地を以て秦に事ふるは、譬へば猶ほ、薪(たきぎ)を抱(いだ)きて、火を救ふがごときなり。
領土によって秦に仕えようとするのは、譬えるなら、
薪木を抱えて、消火にあたろうというようなものです。
薪不盡,則火不止。
薪、盡(つ)きずんば、則ち火止(や)まず。
薪が盡きなければ、火事も収まることはありません。
今王不地有盡,而秦之求無窮,
今、王の地は盡くる有りて、而も秦の求めは窮(きわま)り無し。
今、王様の土地には限りがあるのに,秦の要求は尽きることはありません,
是薪火之說也。
是れ薪火(シンカ)の說なり。
是が薪と火事の說です。
魏王曰。善。雖然,吾已許秦矣,不可以革也。」
魏王曰く。善し。然と雖も,吾、已に秦に許すなり。以て革(あらた)むべからざるなり。
魏王が言いました。善し、わかった。そうはいっても、私は既に秦に約束してしまった。
今から変更することは不可能だ。