先生や友達も持たずに、一人で学問すると、見識が狭くなり、ひとりよがりになってしまうからよくないということを言っている四字熟語です。
【孤陋】は、見識が狭く、ひとりよがりなことを表します。
【孤】は、ひとりものと言う意味ですが、原義は父または両親をなくした子供をいいます。
【独】も、ひとりものと言う意味ですが、こちらは老いて子のない人が原義です。
【陋】は、漢音:ロウ。意味:せま・い、いや・しい。熟語としまして
「陋習:ロウシュウ。悪い習慣」、「陋巷:ロウコウ。路地裏」があります。
【独学孤陋】は、儒学の経典の一つ『礼記:ライキ』の学記篇にでています。
学記篇は、学問の目的、教育の方法、教師の責務などが述べられています。
悪い教育の方法が六つある、と書かれていまして、その中の一つとして【独学孤陋】がでてきます。
①発して然る後に禁ずれば、則ち扞格(カンカク:抵抗)して勝(た)へず。
過ちが発生してから、叱って禁止すれば、学生は抵抗し、これを抑えるのは難しい。
②時過ぎて然る後に学べば、則ち勤苦して成り難し。
教育をするのに程良い時期がある。これを逃すと骨が折れて成功しにくくなる。
③雑(まじ)へ施(ほどこ)して不遜なれば、則ち壊乱(かいらん)して脩(おさ)まらず。
あれこれ雑多に教えると、学生は混乱して理解できなくなる。
④独学にして友無ければ、則ち孤陋にして聞くこと寡(すくな)し。
学生を孤独にしておき友達と交わるように指導しないと、頑固で偏屈になる。
⑤燕朋(エンポウ)は其の師に逆(さから)ひ、
遊び好きの友人に交わると、先生の言うことを聞かなくなる。
⑥燕辟(ヘンエキ)は其の学を廃(す)つ。
遊び癖がつくと、学問は捨てられてしまう。
『礼記』は今から2000年以上も前の書物です。その学記篇には今も通用すると思われる、
「學ぶ」ということ、「教育」ということの本質、とその実践、が述べられています。
「体罰」など、どこにもでていません。
昨日、今日と、センター試験(大学入学者選抜大学入試センター試験)が行われています。
受験生の皆さん、日頃の「学び」の成果を存分に発揮して下さい。