【秋毫(シュウゴウ)の末(すえ)】と読みまして、非常に小さいことのたとえです。
出典は『孟子』梁惠王上です。
曰、有復於王者曰、吾力足以擧百鈞、而不足以擧一羽。
曰く、王に復(もう)す者有りて、吾が力は以て百鈞を擧(あ)ぐるに足るも、
以て一羽を擧(あ)ぐるに足らず。
(孟子が)言いました、誰かが王様に、
自分は力があるから、百鈞もある重いものでも持ち上げられるのだが、
一枚の羽根は、どうも持ち上げられない。
明足以察秋豪之末、而不見輿薪、則王許之乎。
明は以て秋豪の末を察(み)るに足るも、輿薪(ヨシン)を見ずと曰(い)わば、則ち王之を許さんか。
自分は目敏いから、秋に生え変わる細い毛の先でも見分けられるのだが、
車いっぱいに積んだ薪(たきぎ)はいっこうに見えない、と申し上げたら、
王様は、なるほどもっともだ、と信じられますか。
曰、否。
曰く、否。
王が言われた、なんで、そんな馬鹿げたことが信じられるものか。