【人の善を爲(な)さんと欲する者は、性の惡なるが爲(ため)なり。】と読みまして、人々が善いことをしたいと思うのは、その生まれつきの本性が悪いからである、という意味です。
これは、あくまでも『荀子』の性悪説に基づいた説です。
出典は『荀子』性悪篇第二十三です。
人之欲爲善者、爲性惡也。
人の善を爲さんと欲する者は、性の惡なるが爲なり。
人々が善いことをしたいと思うのは、その生まれつきの本性が悪いからである、
今人之性固無禮義、故彊學而求有之也。
今人の性は固(もと)より禮義無し、故に彊學(キョウガク)して之れ有らんことを求むるなり。
さて人間の本性のままではもちろん礼義(社会規範)が備わっていない
だから努力して学習し、それを身につけようと求めるのである。
性不知禮義、故思慮而求知之也。
性禮義を知らず、故に思慮して之れを知らんことを求むるなり。
(また本性のままでは)礼義を知らない、だから思慮を重ねてそれを知ろうと求めるのである。