【人は禮(レイ)無ければ則(すなわ)ち生きず】と読みまして、人間は禮によらなければ生きてゆけない、という意味で、『荀子』修身篇の言葉です。
【禮】というのは、その時代、時代の【社会通念】とでもいうのではないでしょうか。
食飲衣服、居處動靜、
食飲衣服、居處動静、
食べ・飲み・身に着け、生活上の諸々の行動などという、内における行為をする際に、
由禮則和節、不由禮則觸陥生疾。
禮に由らば則ち和節し、禮に由らざれば則ち觸陥(ショクカン)して疾(やまひ)を生ず。
禮によれば適切に良く整うが、禮によらぬ時は調和を失って遂に病気になる。
容貌態度、進退趨行、
容貌(ヨウボウ)態度、進退趨行(スウコウ)、
さらに、容貌・態度・進退・趨行という、外における一身のこなし方も、
由禮則雅、不由禮則夷固僻違、庸衆而野。
禮に由らば則ち雅なるも、禮に由らざれば則ち夷固(イコ)僻違(ヘキイ)にして、
庸衆(ヨウシュウ)にして野(や)なり。
禮によれば上品で穏やかであるが、禮によらないと、おごりたかぶり、ひがみかたよって、
凡庸の大衆のように粗野になってしまう。
故人無禮則不生、事無禮則不成、國家無禮則不寧。
故に人は禮無ければ則ち生きず、事は禮無ければ則ち成らず、
國家は禮無ければ則ち寧(やす)からず。
だから、 人間は禮によらなければ生きて行けず、
物事は、禮によらなければ成就せず、
國家は禮によらなければ安らかであり得ない。