【人事は期せざる所に赴(おもむ)く。】と読みまして、
人間に関する事は予期しない所にゆくことが往々である、という意味です。
出典は『言志晩録』191条です。
人事赴於所不期。
人事は期せざる所に赴く。
人間に関する事は予期しない所にしばしば行くものだ。
究非人力。
究(つい)に人力に非ず。
こういうことは人間の力ではない。
如人家貧富。
人家の貧富の如き、
例えば、世の中には貧乏の家と、金持ちがあるようなもので、
有係於天、有係於人。
天に係る有り、人に係る有り。
これは天運にかかるものもあれば、人力に係るものもあるように思える。
然其係於人者、
然れども其の人に係る者は、
しかしよく考えて見ると、人力によると思われることは、
竟亦係於天。
竟(つい)に亦(また)天に係る。
煎じ詰めれば、天に係ることなのである。
処世能知此理。
世に処して能く此の理を知らば、
我々が世に処して行くのに、この理を会得すれば、
省苦悩一半耳。
苦悩の一半は省(はぶ)かん。
苦しみや悩みを半減することが出来るであろう。