【人(ひと)を傷(そこな)いたりやと。馬(うま)を問(と)わざりき。】と読みまして、孔子の家の馬小屋が火事になったとき、大急ぎで帰ってきて言った言葉です。
【誰か怪我をしなかったか。】と、真っ先に聞きました。馬のことは何も聞きませんでした。
出典は『論語』郷党第十です。
廏焚。
廏(うまや)焚(や)けたり。
(孔子の自宅の)馬小屋が火事になって焼けた。
子退朝曰、
子(シ)、朝(チョウ)より退(しりぞ)いて曰く、
孔子は朝廷から急いで退出し、帰宅されて言いました、
傷人乎。
人(ひと)を傷(そこな)いたりやと。
誰か怪我をしなかったか。
不問馬。
馬を問わざりき。
馬のことはなにも聞かなかった。
落語の「廏火事」はこの話を下敷きにしているそうです。
『論語』がいかに日本で普及し親しまれていたかが窺えます。