悪いことや悪い評判は、すぐ世間に知れ渡ってしまうということをいった四字熟語です。
反対に、善いことや善い評判は、ほとんど世間に知られることがありません。
その辺のところをまとめて、中国古典では 【好事は門を出でず、悪事は千里を行く】と教えてくれました。
出典は『北夢瑣言:ホクムサゲン/ホクボウサゲン』です。北宋の『孫光憲:ソンコウケン』による逸話集です。全20巻あります。光憲は夢沢(ムタク)の北に住んでいたので『北夢』といいました。
「夢」を「ム」と読むのは呉音読み、「ボウ」と読むのは漢音読みです。
五代、後晋の宰相となった和凝(カギョウ)は、若いころ好んで色っぽい小唄を作っていました。
それが結構流行してました。
宰相になってから、彼は人に命じて作品を焼き捨てさせましたが、評判は消えることなく、
遠く契丹の人にまで名が知れ渡り、『艶歌宰相』と呼ばれました。
所謂【好事不出門、悪事行千里】士君子得不戒之乎
いわゆる【好事は門を出でず、悪事は千里を行く】。士君子(諸君)、之を戒めざるを得んや。
『五代』と言いますのは、唐末に興った五つの王朝を指します。
後梁(コウリョウ)、後唐(コウトウ)、後晋(コウシン)、後漢(コウカン)、後周(コウシュウ)をいいます。
千里を走った風評は、未だ冷めやらず。原発被災地を苦しめています。