愛情が多すぎると憎しみを招くので、度を過ごした愛情は慎まなければならないという戒めの言葉です。
【愛多ければ、憎しみ生ず】と訓読みされます。
出典は『亢倉子:コウソウシ』用道篇です。
『亢倉子』は道家の書で、天宝元年(742)に周の庚桑楚(コウソウソ)の著と言われていましたが、唐の王士元(オウシゲン)の偽作とされてます。
物 固(もと)より似たる有り、是にして非、非に似て是、
物事の本質は常に似る、是にして非、非に似て是、
先に號(な)きて後に笑ひ、吉に始まり凶に終ふ。
先に号泣するも後には笑い、吉に始まるも凶に終わる。
身は親しむ可(べ)くして、才は親しむ可(べ)からず。
人は己自身に親しむべきで、才知芸能には親しむべきではない。
才は敬す可くして、身は堪敬(カンケイ)せず。
才知芸能は敬すべきで、己自身を無闇に敬してはならない。
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【恩甚だしければ則ち怨み生じ、愛多ければ則ち憎しみ至る】
恩に過ぎれば怨みを生じ、愛に過ぎれば憎しみに至る。
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百事の宜(ギ)は其の由(よし)甚だ微にして知らざる可からざるなり。
物事の是非善悪の由るところ、甚だ玄妙にして知らざるべからざるものである。
是の故に智者は之を難(かた)しとす。
故に智者はこれを難しとなす。
いずれにしましても度を越した、恩愛は怨まれたり、憎まれたりの原因になるそうです。