【人の齢(よわい)は、四十を踰(こ)えて以て七、八十に至りて漸(ようや)く老に極まる。】と読みまして、人間は40を越えると漸く年の寄るのを感じ、70、80ともなると、老いも極まって立派な老年になる、という意味です。
出典は『言志晩録』282条です。
人齢踰四十、以至七八十、漸極於老。
人の齢は、四十を踰(こ)えて、以て七、八十に至りて、漸く老(おい)に極まる。
人間は40を越えると漸く年の寄るのを感じ、70、80ともなると、老いも極まってくる。
如海潮然。
海潮の如く然り。
年のとり方は、将に海の潮のように感じられる。
退潮不直退、必一前一卻而漸退。
退潮は直退せず、必ず一前(イチゼン)一卻(イッキャク)して而(しこう)して
漸退(ぜんたい)す。
この年の取り方はちょうど、海の潮のように感じられる。
今、退(ひ)き潮を考えると、一度に退くものではなく、
必ず寄せては返しているように見えながら次第に退いてゆく。
即回旋而移也。進潮亦然。
即ち回旋(カイセン)して移るなり。進潮(シンチョウ)も亦(また)然(しか)り。
即ちぐるぐる廻って移りゆく。上げ潮も同じであろう。
人々宜自験。
人々宜しく自ら験(ケン)すべし。
人々は自分で年を取ってゆくのを験(ため)してみるがよい。