【故(コ)を刑(ケイ)するに小(ショウ)とする無し。】と読みまして、
故意に犯した罪は、小さな罪でも刑罰を与えること、です。
出典は『書經』大禹謨(ダイウボ)です。
『書經』は、中国最古の歴史書で、堯舜から夏・殷・周の帝王の言行録を集めたものです。
『五経』のひとつに挙げられています。『五経』は、詩経、礼記、書経、易経、春秋 です。
皋陶曰、帝德罔愆。
皋陶(コウヨウ)曰く、帝の德(トク)愆(あやま)つこと罔(な)し。
皋陶が言いました。帝の徳には少しの過ちもありません。
臨下以簡、御衆以寬。
下に臨(のぞ)むに簡(カン)を以てし、衆を御(ギョ)するに寬(カン)を以てす。
下の者に臨むには大まかな態度により、衆人を支配するには寛大な方法によられる。
罰弗及嗣、賞延于世。
罰は嗣(シ)に及ぼさず、賞は世に延(およ)ぼす。
罰を下すには後継ぎまでは及ぼさず、賞を与えるには子孫にまで及ぼす。
宥過無大、刑故無小。
過(あやまち)を宥(ゆる)すに大(ダイ)とする無く、故(コ)を刑(ケイ)するに小(ショウ)とする無し。
過失による罪を赦(ゆる)すには、その罪が大きいということは問題にしないが、
故意による罪を罰するには、その罪が小さいということは問題にしない。
罪疑惟輕、功疑惟重。
罪の疑はしきは惟れ輕くし、功の疑はしきは惟れ重くす。
罪で疑わしいときにはその罰を軽いほうにし、
功績で確かでないものはその賞を厚いほうにする。