きわめて軽いものでも沢山積めば重くなって、それを載せた車の軸が折れてしまうことを表しています。
転じて、わずかな重さのものでも量が多くなると恐ろしい力となるたとえ。
また、小さな力のものもこれを合わせれば、大きな力となることのたとえでもあります。
『戦国策』魏策の中で、張儀(チョウギ:?~B.C.309)が秦の為に連衡(レンコウ)策を魏王に説いている時のお話です。
天下之游士、莫不日夜搤腕、
天下の游士、日夜腕を搤(ヤク)し
天下の游説の士にして、夜となく昼となく、ぐっと腕組みして、
瞋目切齒、以言從之便
目を瞋(いから)し齒を切して、以て從の便を言ひ、
目を怒らせ齒を食い縛り、合従の便益を述べたてて、
以說人主。
以て人主に說かざるは莫(な)し。
人主に献策しない者はありません。
人主覽其辞、牽其說。
人主其の辞(ジ)を覽(と)りて,其の說に牽(ひ)かる。
人主がその言葉を受け入れ、その說に心引かれては、
悪得無眩哉。
悪(いづ)くんぞ眩(まど)はざるる無きを得ん哉(や)。
目をくらまさないで済みましょうか。
臣聞、積羽沈舟,
臣聞く、積羽(セキウ)舟を沈(しづ)め,
臣が聞くところでは、羽も沢山積めば舟を沈め、
群軽折軸、衆口鑠金。
群軽(グンケイ)軸を折り、衆口(シュウコウ)金を鑠(とか)す、と。
軽い荷物でも、沢山積めば車軸を折り、口を揃えてそしれば金属をも溶かす、と。
故願大王之熟計之也。
故に願はくは、大王の之を熟計(ジュクケイ)せんことを。
ですから、大王がこの点をよくお計りくださるようお願いします。