【物に餘(あま)り有る、之を富と謂う。】と読みまして、物に余分があるのを富と言う、という意味ですが、
富と貧は心に在るのであって、物にあるのではないと、佐藤一斉先生は『言志耋録』で述べてます。
物有餘謂之富。
物に余り有る、之れを富と謂う。
物に余分があるのを富と言う。
欲富之心、即貧也。
富を欲するの心は即ち貧なり
この富を欲しがる心が貧である。
物不足謂之貧。
物の足らざる、之れを貧と謂う。
物の足らないのを貧という。
安貧之心、即富也。
貧に安んずるの心は即ち富なり。
物不足の貧に安んじている心は富んでいる。
富貴在心、不在物。
富貴は心に在りて、物に在らず。
このように考えると富と貧は心に在り、物にあるのではないと理解できる。